2014年04月21日

井上靖卒読(177)「屋上」「高天神城」「夏の終り」

■「屋上」
 入院中の病室から見える3階建てビルの屋上で、男女がゴルフの練習をしています。それを毎日見ながら、さまざまに想像を逞しくし、妻と語り合います。そのビルが火事になること以外、特に動きはありません。夫婦の語らいと、平凡な人生を送る気持ちが、穏やかに綴られています。【2】
 
 
初出誌︰文藝春秋
初出号数︰1957年6月号
 
角川文庫︰花のある岩場
井上靖小説全集19︰ある落日
井上靖全集5︰短篇5

時代︰昭和(戦後)
舞台︰東京都(高台の病院、ビルの屋上)
 
 
 
■「高天神城」
 人間は2つに1つの選択を迫られることがあります。時は永禄12(1569)年正月。40歳の城主である小笠原弾正の、迷いの心情を描いています。突然の判断の変更。よくあることです。武田側の視点で、冷静に歴史を紡いでいます。【2】
 
 
初出誌︰オール読物
初出号数︰1957年8月号
 
ロマンブックス︰楼蘭
井上靖全集5︰短篇5
 
 
 
■「夏の終り」
 今から見ると、海水浴場の話は懐かしく思えます。ところが、話は浜辺を舞台にしての意外な展開を見せるのです。きれいにまとまっています。しかし、短編ゆえの物足りなさが残りました。【3】
 
 
初出誌︰新潮
初出号数︰1957年10月号
 
角川文庫︰花のある岩場
井上靖小説全集19︰ある落日
井上靖全集5︰短篇5
 
時代︰昭和(戦後)のとある年の立秋過ぎ
舞台︰静岡県(駿河湾に面した漁村)
 
 
 
〔参照書誌データ〕
「井上靖作品館」
posted by genjiito at 23:20| Comment(0) | □井上卒読