2013年12月01日

第37回 国際日本文学研究集会2日目

 午前中は、短い休憩を挟んで5人の発表がありました。
 私はこの5人の司会を担当していたので、自分とは異なる研究分野とはいえ、真剣にすべてを聞きました。

 個人的に興味と関心のある発表3本について、以下にメモとして残しておきます。

 劉穎さんの発表は、西鶴作品に関する銭稲孫氏の中国語訳についてでした。銭氏は『源氏物語』も翻訳をしている方なので、いろいろと貴重な情報がもらえました。わたしにとって専門外の分野であっても、よく調べた手堅い発表は、得るものが多くてありがたいことです。

 イムラン・モハンマド君の発表は、インドにおける俳句の受容を通して、具体的な現況が報告されました。こうした情報はなかなか日本にまでは届かないものなので、インドの実情を知るのに有益な発表でした。中でも、擬音語の翻訳には唸らされました。
 また、ワルマ先生のインドにおける日本文学の研究と啓蒙に関して、その功績について認識を改めることとなりました。

 常田槇子さんの発表は、ヤマタ・キク氏の翻訳に関して、新資料を基に論じたものでした。ヤマタ・キク氏については、『源氏物語』のフランス語訳をした方なので、その意味でもありがたい貴重な情報をいただけました。
 また、研究手法も手堅く、これまでの『源氏物語』に関する常田さんの既発表論文を読み直すことを迫られるという、収穫の多い発表でした。

 予定になかった休憩時間を途中で取ったことと、私が質問を受けすぎたこともあり、予定の午前の部が20分も超過しました。しかし、若手の新鮮な発表ばかりだったので、何とか許していただけました。

 午後は、「テクスト・ジェンダー・文体 −日本文学が翻訳されるとき−」をテーマとするシンポジュウムです。
 立命館大学の中川成美先生の名司会で進行しました。
 一見捕らえ所のないテーマが、中川先生の巧みな手腕により、見事に問題点が炙り出されました。
 小嶋菜温子先生の発表に対して、私は、英語と違ってスペイン語では主語がなくても翻訳できることの確認をしました。ラテン系の言語では、主語がなくてもいいそうです。ということは、翻訳のことを考える上で、また一つチェックポイントが出てきました。
 翻訳については、さまざまな条件を整理してから考えていかないと、まとまりがつかなくなります。これは、心してこの問題に立ち向かうことを強いられることにつながります。

 とにかく、盛会のうちに今年も無事に終了しました。
 来年の、第38回 国際日本文学研究集会は、平成26年11月29日(土)、30日(日)です。
 シンポジウムのテーマは、「図像の中の日本文学」です。
 また実り多い集会になることでしょう。
posted by genjiito at 23:47| Comment(0) | ◎国際交流