2013年06月16日

京都で『十帖源氏』を読む(第3回)

 先ほど上京しました。

 梅雨を抜けた夏かと思うほどの京都から、新幹線で3時間もかからない東京に降り立ち、そのヒンヤリとした空気に驚きました。先週末と同様に、東西で10度という気温差はわかっていたので、妻は長袖のカーディガンを早速羽織っていました。私も、たくし上げていたカッターの袖を伸ばし、ブレザーを着込みました。

 一体、この気候はどうなっているのでしょうか。尋常ではない、天変地異を実感します。
 賀茂川は水嵩が目に見えて減っていました。今日、ぶらぶらと訪れた大徳寺の高桐院では、苔が水不足で茶に色変わりし、庭園も地割れや苔が捲れ上がっていました。このことは、明日にでも書くつもりです。

 何年後かに、この異常さに明確な説明がつくのでしょう。そんな、歴史的な時期にこうして生きていることを、奇遇だと思わざるをえません。これも生きた証の記録として、ここに記しておきましょう。

 さて、昨日は北野神社でのお茶会の後、久々というほどに大降りの俄雨になった中を、バスで丸太町に向かいました。
 午後3時から、「ワックジャパン」で、本年4月からスタートした『十帖源氏』の3回目の輪読会があったからです。これは、毎月1回、原則として第2土曜日に集まって『十帖源氏』の海外翻訳版を作成する勉強会です。

 参加者は、インドから国費留学生として国際日本文化研究センターに来ているアルチャナさんと、中国から立命館大学に来ている庄さんと候さん、そして先週の中古文学会で研究発表をした荻田さんなどです。

 今回は、インドと中国、そしてドイツ語で訳したらどうなるか、という具体的な問題を確認し点検しながら進みました。

 「家司」という語句をどうするかで、いろいろな意見が出ました。最初は「信頼できる部下」としていました。しかし、「執事」や「マネージャー」などを出し合っている内に、中国語で「管家」ということばがあるということから、「家の管理人」で落ち着きました。

 右近の尉が詠んだ歌、
ひきつれて あふひかさしく そのかみを
  おもへは つらし 神のみつかき

の下の句にある「神」は、『源氏物語』の原文を見ると、諸本いずれもが「賀茂」となっているとのことです。
 確かに、私が作成している本文データベースを見ても、19種類の本文のすべてが「かも」もしくは「賀茂」です。この時点では、この『十帖源氏』だけが「神」なのです。あるいは、近世の版本にそうした本文があるのかもしれません。これはさらに調べることになりました。

 こうして、いろいろなことをみんなで思いつくままに言い合い、一緒に考えています。
 この勉強会では、海外の方々が『十帖源氏』を自国の言語に翻訳する上で参考となる現代日本語訳を作ろう、という目的の下にわかりやすい訳文に取り組んでいます。その目的が明確なので、専門的な知識よりも、幅広いものの見方が大事になっています。特に、留学生の方の参加は、翻訳文の検討に複眼的な視点が入って来て有益です。各国の留学生の方の参加を、楽しみにしています。

 次回第4回は、7月13日(土)の午後3時から、同じくワックジャパンの京町家の一室をお借りして行います。
 参加費は、資料代を含めて千円です。興味のある方は、本ブログのコメント欄かNPO法人〈源氏物語電子資料館〉の事務局へメールでお問い合わせ下さい。
 その際、東京会場か京都会場かを明記していただけますよう、よろしくお願いします。

 なお、京都会場では、7月から新たに、『源氏物語』の写本を読む会もスタートすることになりました。
 次回の7月13日(土)の午後1時から2時半まで、ハーバード大学が所蔵する鎌倉時代の美麗な写本である『源氏物語』の「蜻蛉」巻を読み進む予定です。
 このことについての詳細は、追って本ブログとNPO法人〈源氏物語電子資料館〉のホームページでお知らせします。しばらくお待ち下さい。
posted by genjiito at 23:23| Comment(0) | ◎NPO活動