2013年01月09日

鈴木淳先生の最終講義

 基盤機関を国文学研究資料館とする総合研究大学院大学文化科学研究科日本文学研究専攻では、定年退職なさる先生の最終講義が実施されます。

 今日は、鈴木淳先生の最終講義がありました。
 
 
 
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 鈴木先生は私の大学と大学院の先輩です。國學院大學に入学後、私は小林茂美先生の指導を受けました。当時大学院生だった鈴木先生は、同じ研究室におられた内野吾郎先生の指導を受けておられました。

 研究室が同じだったということもあり、折々にお目にかかっていました。
 その後、私が大学院に入るにあたって、小林先生が大学院に講座をお持ちではなかったので、内野先生に預けられました。そのこともあり、鈴木先生にいろいろと教えを受けるようになりました。
 内野先生は近世国学の研究を専門になさっていました。小林先生は平安文学です。
 私は大学院で内野先生の指導を受ける中で、ドイツ文献学について興味を持ちました。そして、平安文学と文献学的研究を目指すようになりました。それが、今の研究手法につながっています。

 私が国文学研究資料館に職を得た時、鈴木先生は早くから国文研の中心的な教員として幅広い仕事をなさっていました。私が大学院で研究を始めてからの恩師である伊井春樹先生が、国文研の館長としてお戻りになってからは、鈴木先生は副館長として法人化や立川移転などの大仕事をこなされたのです。

 鈴木先生には、科研のメンバーに加えていただいただけでなく、海外の調査でもお世話になりました。今思い出すだけでも、アメリカ・ハーバード大学、イギリス・ロンドン大学、オランダ・ライデン大学でご一緒しました。特に、ハーバード大学が所蔵する鎌倉時代中期の『源氏物語』の古写本に関しては、その写真撮影を含めて多大なご理解とご協力をいただきました。本当に、ありがとうございました。

 初めてお目にかかってから40年という時間が流れました。先輩であり同僚として、今日は興味深く講義を伺いました。
 
 本日の題目は、「絵本名義考」です。

 まず、「絵本」という用語の語例と実態について、近世の諸文献に記された例証を挙げながら確認されました。
 そして、江戸時代の宝永頃までは、「絵本」は手本の意味で理解されていた、ということでした。

 お話の内容には、狩野派や土左派のことが頻繁に出てきて、私の関心をいろいろと刺激してくださいました。

 本日の最終講義は、年度末に冊子として発行されますので、これ以上ここに中途半端なことを書くことは控えます。

 先生のこれまでのお仕事はたくさんあります。


【単著】
近世学芸論考(羽倉敬尚論文集):422(1-422)(編)(明治書院,東京)(平4)
江戸和学論考:754(1-754)(ひつじ書房,東京)(平9)
樋口一葉日記を読む:175(1-175)(岩波書店,東京)(平15)
橘千蔭の研究:602(1-602)(ぺりかん社,東京)(平18)
【編著】
近世歌文集下:249(1-82, 107-254, 565-583)(共著)(岩波書店,東京)(平9)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校所蔵日本古典籍目録:322(共編)(刀水書房,東京)(平12)
近世随想集:404(3-8,29-404,485-506)(共著)(小学館, 東京)(平12)
樋口一葉日記:1157(1-949,1-208)(岩波書店,東京)(平14)
ハーバード燕京図書館の日本古典籍:マクヴェイ山田久仁子共編著(八木書店,東京)(平20)


 これからは、研究の時間が充分にあると思います。ますますのご活躍をお祈りしています。

 写真をブログに載せてもいい、とのご許可をいただきましたので、最終講義の様子を冒頭に掲載しました。
posted by genjiito at 22:41| Comment(0) | ■古典文学