2012年12月12日

国文研で展示中の『源氏物語』断簡

 今日から、国文学研究資料館の〈通常展示 新収品・新寄託品展〉として、「古筆のたのしみ」が始まりました。期間は、新年11日までです。
 新しく収蔵・寄託された貴重な古典籍の中でも、昨年の物語類を受けて、和歌と古筆資料が公開されています。

 歌集の断簡などが中心です。その中で、『源氏物語』などの物語がいくつかあったので、ここに列記しておきます。

 以下で取り上げているのは、あくまでも私が展示室で見て、興味を持った物語の断簡です。

(1)『源氏物語』「夕顔」断簡 伝民部卿局筆 鎌倉時代(出品目録ナシ、『古筆手鑑』の内)
 
〈参考〉
夕日のなごりなくさし入りてはべりしに、文書くとてゐてはべりし人の顔こそいとよくはべりしか。もの思へるけはひして、ある人々も忍びてうち泣くさまなどなむ、しるく見えはべる」と聞こゆ。君うち笑みたまひて、知らばやと思はしたり。おぼえこそ重かるべき御身のほどなれど、御齢のほど、人のなびきめできこえたるさまなど思ふには、すきたまはざらんも情なく、さうざうしかるべしかし、人のうけひかぬほどにてだに、なほ、さりぬべきあたりのことは好ましうおぼゆるものをと思ひをり。(惟光)「もし見たまへ得ることもやはべると、はかなきついで作り出でて、消息など遣はしたりき。書きなれたる手
(『新編日本古典文学全集』(小学館)143〜144頁)
 
(2)『源氏物語』「真木柱」断簡2葉 九条稙通筆 安土桃山時代(出品目録8頁、『古筆手鑑』の内、ただし今回は見られない)
 
〈参考〉

よと思ふだに胸つぶれて、石山の仏をも、弁のおもとをも、並べて頂かまほしう思へど、女君の深くものしと思し疎みにければ、えまじらはで籠りゐにけり。げに、そこら心苦しげなることどもを、とりどりに見しかど、心浅き人のためにぞ寺の験もあらはれける。大臣も心ゆかず口惜しと思せど、言ふかひなきことにて、誰も誰もかくゆるしそめたまへることなれば、
(『新編日本古典文学全集』(小学館)349〜350頁)
 
〈参考〉
つつ聞こえたまふ。いとをかしげに、面痩せたまへるさまの、見まほしう、らうたいことの添ひたまへるにつけても、よそに見放つもあまりなる心のすさびぞかしと口惜し。(源氏)「おりたちて汲みはみねども渡り川人のせとはた契らざりしを思ひのほかなりや」とて、鼻うちかみたまふけはひ、なつかしうあはれなり。女は顔を隠して、(玉鬘)みつせ川わたらぬさきにいかでなほ涙の
(『新編日本古典文学全集』(小学館)354〜355頁)
 
(3)『源氏物語系図』断簡 伝冷泉為相筆 鎌倉時代(出品目録27頁、寄託資料、一軸)
 
(4)『大和物語』断簡 伝慈円筆 鎌倉時代(出品目録ナシ、『古筆手鑑』の内)
 
(5)『伊勢物語』断簡 鎌倉時代 と 室町時代(出品目録ナシ、『古筆手鑑』の内)
 
(6)『狭衣物語』断簡 伝二条為明筆 鎌倉時代(出品目録6頁、『古筆手鑑』の内)
 
 これらのほとんどは、国文学研究資料館のホームページの中の「電子図書館」に、デジタル画像としてすでに公開されています。
 「所蔵和古書・マイクロ/デジタル目録データベース」にアクセスすると、「館蔵和古書画像一覧」の中の「古筆手鑑」などです。

 一通りインターネットで通覧してから展示をご覧になった方が、より意義深いものになるかと思います。
posted by genjiito at 23:58| Comment(2) | ◎源氏物語