2012年07月07日

国文研蔵『源氏物語団扇画帖』服飾関係分類索引(畠山版4)

 『源氏物語団扇画帖』の服飾関係分類索引(畠山版3)では、「第一六図 関屋巻(第一六帖)」から「第二五図 夕顔巻(2)(第四帖)」までの10図を扱いました。

 引き続き、第二六図から第三五図までを取り上げます。

 なお、展示図録として作成した『源氏物語 千年のかがやき 立川移転記念 特別展示図録』(国文学研究資料館編、2008年10月、思文閣出版)では、2葉の図版が入れ替わっています。実際の折本の順番では、図録の第27図「匂宮巻」(五〇頁)の位置には第29図「篝火巻」(五二頁)が貼られています。それに伴い、図録の第29図「篝火巻」(五二頁)の位置には、実際には第27図「匂宮」(五〇頁)が貼られています。つまり図録の「匂宮」と「篝火」は入れ替えるべきです。しかし、大きく影響しないことを勘案して、今は刊行された図録の順番で以下の索引も掲載します。
 国文学研究資料館のホームページから公開されている『源氏物語団扇画帖』の画像では、この2葉は正しい順番で並んでいます。
 
 
「第二六図 野分巻(第二八帖)」
1(女の童)  衵姿
        衵(朱色地浮線綾丸文、地文は不明) 単衣(白地菱文)
2(女の童)  衵姿
        衵(白地菊唐草文) 単衣(縹色菱文)
3(女の童)  衵姿
        衵(白地唐花唐草文) 単衣(香色菱文)
4(女房)   五衣表着姿
        表着(黄色地花菱遠文) 五衣(朽葉匂) 単衣(縹色菱文)
5(女房)   五衣表着姿
        表着(白地松枝文) 五衣(縹匂) 単衣(紅地幸菱文) 長袴
 
 
「第二七図 匂宮巻(第四二帖)」
1(従者)   白張姿 傘を持つ
        烏帽子 白張
2(従者)   狩衣姿
        平礼烏帽子 狩衣(紅地唐草文) 中着(墨色)
3(従者)   狩衣姿
        烏帽子 狩衣(黄色無文) 中着(単か。紅地入子菱文)
4(従者)   水干姿
        萎烏帽子 水干上下(朱色) 中着(袖からは緑色、肩からは蘇芳地の熨斗目模様が見える)
5(従者)   狩衣姿
        烏帽子 狩衣(浅葱色梅唐草文) 指貫(白地八藤丸文) 単(紅地松枝文) 浅沓
6(従者)   白張姿
        烏帽子 白張 中着(熨斗目小袖)
7(従者)   狩衣姿
        平礼烏帽子 狩衣(薄香色松枝文) 指貫(紺色地、文は何かの丸文) 中着(紅地、地文は不明)
8(牛飼)   水干姿 髪は喝食
        水干(紅地松枝文) 中着(墨色)
9(従者)   狩衣姿
        烏帽子 狩衣(薄萌黄梅文) 指貫(八藤丸文か) 単(紅地、地文は不明)
 
 
「第二八図  手習巻(第五三帖)」
1(少将の尼) 五衣表着姿 髪は尼削ぎ
        表着(白地唐花唐草文) 五衣(入子菱文縹匂) 単衣(萌黄幸菱文) 長袴
2(女房)   袿袴姿
        袿(白地松枝文) 単衣(紅地菱文)
3(浮舟)   五衣表着姿
        表着(浅葱色地梅唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(縹地菱文)
4(尼)    五衣表着姿 髪は尼削ぎ
        表着(黄色地菊文) 五衣(朽葉匂) 単衣(紅地菱文) 長袴
 
 
「第二九図 篝火巻(第二七帖)」
1(右近の大夫)布衣姿
        平礼烏帽子 布衣(緑色無文) 当帯 小袴(白地無文) 中着(袖からは赤色が、肩と股立ちからは茶色が見える)
2(光源氏)  袿姿
        立烏帽子 袿(二重織朱色地唐花唐草文) 単衣(白地幸菱文)
3(玉鬘)   袿袴姿
        袿(白地梅唐草文) 単衣(萌黄幸菱文) 長袴
 
 
「第三〇図 藤袴巻(第三〇帖)」
1(玉鬘)   五衣表着姿
        表着(白地菊唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴
2(女房)   袿袴姿か
        袿(朱色地花菱唐草文) 単衣(萌黄)
3(女房)   五衣表着姿
        表着(浅葱色地唐花唐草文) 五衣(朽葉匂) 単衣(縹地菱文) 長袴
4(女房)   五衣表着姿
        表着(白地梅唐草文) 五衣(縹匂) 単衣(香色地幸菱文) 長袴
5(女房)   五衣表着姿
        表着(白地松枝文) 五衣(朽葉匂) 単衣(縹地菱文) 長袴
 
 
「第三一図 空蟬巻(2)(第三帖)」
1(光源氏)  夏の烏帽子直衣姿
        立烏帽子 直衣(縹色三重襷文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)
2(空蟬)   単衣重姿
        単衣(白地無文。輪郭の二重線は、二枚重ねのさまを表す) 長袴
3(小君)   水干姿 髪は喝食
        水干(紅地松枝文) 当帯 指貫(白地無文) 中着(墨色)
4(軒端の荻) 袿袴姿
        袿(白地梅唐草文) 単衣(白地菱文) 長袴
 
 
「第三二図 梅枝巻(第三二帖)」
1(童)    水干姿 髪は喝食
        水干(朱色地唐花唐草文) 指貫(白地無文) 単(墨色) 浅沓
2(蛍宮)   冬の冠直衣姿
        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)
3(光源氏)  冬の冠直衣姿
        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)
 
 
「第三三図 夢浮橋巻(第五四帖)」
1(小君)   水干姿 髪は喝食
        水干(紅地松枝文) 指貫(縹地無文) 中着(墨色)
2(浮舟)   袿袴姿 髪は尼削ぎ
        袿(白地梅唐草文) 単衣(紅地菱文)
3(小野の妹尼)単衣重ね? 髪は尼削ぎ
        単衣?(白地唐花唐草文)同じ衣を二枚重ねて着ていると思われる
 
 
「第三四図 初音巻(第二三帖)」
1(光源氏)  冬の冠直衣姿
        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文)
2(明石の君) 五衣表着姿
        表着(白地梅唐草文) 五衣(白重入子菱文) 単衣(萌黄菱文) 長袴
3(女房)   五衣表着姿
        表着(浅葱色地松枝文) 五衣(縹匂) 単衣(紅地菱文)
4(女房)   五衣表着姿
        表着(黄色無文) 五衣(朽葉匂) 単衣(薄縹菱文)
5(女房)   五衣表着姿
        表着(白地唐花唐草文) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(薄蘇芳幸菱文) 長袴
 
 
「第三五図 若菜上巻(第三四帖)」
1(女三の宮) 五衣表着姿か 物語本文では細長を着用
        表着(生成色、地文不明) 五衣(入子菱文紅匂) 単衣(萌黄菱文) 長袴
2(柏木)   冬の冠直衣姿
        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(鳥襷文) 浅沓
3(男君)   冬の冠直衣姿
        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(茶色地鳥襷文)
        浅沓
4(男君)   冬の冠直衣姿
        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(浅葱色八藤丸文)
        浅沓
5(男君)   冬の冠直衣姿
        冠(垂纓繁文) 直衣(白地浮線綾文) 単(紅) 指貫(薄縹八藤丸文)
        浅沓
 
 


※「ひとえ」は、男性用(丈短)を「単」、女性用(丈長)を「単衣」と表記する。
※「五衣表着」の名称はオリジナルである。「五衣小袿」の呼称もあるが、近代から用いられている呼称であり、「小袿」の定義も時代によって異なるので、一番上に着ている袿の意味で「表着」の呼称を用いた。
※「縹匂」「朽葉匂」は、オリジナルの呼称である。これは、同じ色目が有職故実書の中には見られないもので、ブルーから白へのグラデーションを表すために「縹匂(はなだのにおい)」、茶色から白へのグラデーションを表すのに「朽葉匂(くちばのにおい)」という呼称を仮に用いた。
※烏帽子の紐を顎にかけて固定しているものと、そうでないものとがいる。不鮮明な箇所もあり、今回は掲載しなかったが、この書き分けについては考察が必要かもしれない。
※同じような赤でも、「紅」と「赤」とで使い分けた。身分が低いと思われる人物には、「赤」を用いた。他にも、身分の差で表記を変えたものがある。
※男性の「中着」は、小袖なのか、単なのか判別ができなかったために使用した。また、熨斗目模様がみられるものは、「熨斗目小袖」と判断した。しかし、通常熨斗目の模様は肩まで入ることはなく、若干の不審もある。
※上文に二色以上使用しているものを「二重織(ふたえおり)」として区別した。
※ライトブルー系統の色は、直衣の場合「縹色」とし、薄縹色(濃)、浅葱色(薄)と区別した。
posted by genjiito at 23:29| Comment(0) | ◎源氏物語