2012年04月13日

十数年ぶりの非常勤講師

 大学院などの非常勤講師を、これまでにいろいろと頼まれてきました。ありがたいことだと思いながらも、申し訳ないのですがお引き受けしないできました。単身赴任で上京していたために、毎週末に関西の自宅へ帰ることを優先していたからです。
 夏期の集中講義は何回か引き受けました。しかし、短期間ということもあり、学生さんとの接点が希薄なので次第にそれも遠慮するようになっていました。

 それが、昨春より妻が上京して共に生活をすることになり、私の方の環境と状況が変わりました。
 そのような折に、いつもお世話になっている先輩から非常勤講師の話があり、ありがたくお受けすることにしました。妻の東京での仕事も、これまた偶然とはいえ、その先輩のお世話になるものです。重ね重ね、ありがたいことだと思っています。

 1999年に上京するまでは、立命館大学で非常勤講師をしていました。文学研究と情報処理の科目を担当していました。今回は、國學院大學大学院で海外における日本古典文学の研究に関する講座です。対象は文学部の大学院生です。
 私の興味と関心の深いものなので、喜んで担当することにしました。

 今日が初めての授業の日です。久しぶりに学生さんの前で90分間、挨拶がわりのお話をしました。慣れないことでもあり、少し疲れました。
 自分の後輩にあたる学生さんに語るのは、楽しくて嬉しいものです。自分が育ててもらった学校なので、少しでもご恩返しをしたい、との思いもあります。定年までの後5年を、本務と共に許される範囲での兼業としての講師を務める中で、若手育成のお手伝いをすると共に自分自身の活性化にもつなげていきたいと思っています。

 知識の伝授や切り売りではなく、ケーススタディとなるような意識でいることと、人と人とのつながりの奥深さを伝えていけたら、と思って話をしました。

 事前にシラバスに記した講義概要は、次のようなものです。


研究のテーマ
 海外における日本古典文学研究の実態と具体的な作品における受容状況の理解を深める

講義・演習の内容
 海外における日本古典文学がどのように受容され研究されているかを確認する。その際、国別・作品別の受容状況と研究状況とを、インターネットなどを通して通覧する。
 さらに、『源氏物語』に関する海外での情報を整理する。特に、31種類の言語で翻訳されている実態を踏まえ、その特質を考えていく。
 なお、翻訳の実態確認とともに、翻訳用語のグロッサリーを構築するところまでを追体験していく。

到達目標
 受講者は、海外における日本古典文学作品のおおよそを理解することとなる。特に、『源氏物語』が翻訳された言語の多さから、そのさまざまな異文化間コミニュケーションのありようが見えてくる。また、翻訳用語のグロッサリーを構築する過程で、日本の言葉を他国の言語に移し替える過程そのものが、文化の変容をともなうものであることが自覚できるようになる。


 忘れないように、自己紹介を通して今日お話しした内容を、メモとして残しておきます。


・これまで生きて来た中で、それぞれの局面で判断して来たこと。
・偶然や予想外の思いがけない事態に対処できる知恵を大切にしてきたこと。
・人間の生きざまを通して文学研究の実態を見ることは非常にいい勉強になること。
・大多数の人が外から見る以上に順調には歩んで来ていないことが見えることの重要さ。
・海外の研究情報と研究者との交流の実態を知ることで自分のものを見る視野が拡がること。
・日本人としての視点から英語教育の問題点と課題を考えると違ったものが見えてくること。
・国際性や国際化の実情を考える基本には、いかに自国を深く理解できているかが重要である。
・英語力を云々する前に、日本のことを語れるだけの日本文化や文学に対する知識が必要である。
・海外の方々に日本的なよさや美しさを伝えるためには古典文学が最適な教材となること。

・今後の授業ではノートパソコンを持ち込んでネットにつなげながら進めたい。
・情報の共有をアプリケーションとしての「エバーノート」を活用することで実現したい。


 今日は、最初ということもあってガイダンスとなりました。また、自己紹介が中心でした。
 次回から、受講生5名の問題意識のありようを語ってもらい、その共通点となる話題に集中したテーマを展開していきたいと思います。
 事前にシラバスに記したノートパソコン持参のことが理解されていたようで、みなさんその準備をしておられました。コミュニケーションツールとしてのパソコンとネットを活用して、新たな取り組みをしていくつもりです。
 今日の授業に私が持って行ったツールは、iPhone と iPad でした。次回は、さらにMacBook Air も持って行くもつりです。
posted by genjiito at 22:30| Comment(0) | ◎国際交流