2011年08月27日

千代田図書館の内田嘉吉文庫のこと

 今日8月26日と明日27日(午後1時から90分)の2日間、九段下にある千代田区立図書館で展示関連講演会として「内田嘉吉文庫の魅力とこれから」が開催されました。場所は、千代田区役所1階の区民ホール(展示会場内)です。

 ちょうど千代田図書館へ古書目録の調査に行っていた折でもあり、興味深い内容に惹かれて参加しました。

 この内田文庫は、私が現在調査をしている閉架書庫の同じスペースで、日比谷図書文化館への移転の作業が続けられています。内田文庫の本の背中を見ながら自分の調査をしているので、その内容は気になっていました。
 今日はいい勉強の機会に巡り会うこととなりました。

 まず、菅谷彰氏(千代田区立図書館ジェネラルマネージャー)が、「冒険の内田文庫 新たな旅立ちに向けて」と題して話してくださいました。おおよそ、次のような内容でした。
 
 
 

110826_sugaya
 
 
 

・内田嘉吉文庫の基礎
・内田嘉吉文庫の探査
  4年間のジャングル探検
  大正という時代と台湾や満州が見えてくる
・内田嘉吉文庫の特別な魅力
  内田嘉吉は『坂の上の雲』と同年代の人
・10月から日比谷図書文化館に移管されて公開となること

 つづいて、水谷剛氏(内田嘉吉文庫研究家)が、「内田嘉吉文庫の魅力」と題して話されました。
 
 
 
110826_mizutani
 
 
 

 『群書類従』がメインの話とのことでしたが、多岐にわたる内容でした。
 その中で、昭和天皇が皇太子時代に英国を訪問された折、『群書類従』全冊をケンブリッジ大学に寄贈(大正11年)されたのだそうです。その本には、次の写真のように「光栄記念」の印があるのが特徴である、とのことでした。
 
 
 
110826_gunsyo
 
 
 

 ただし、英国王室へのお土産であり、現在どこに所蔵されているのかは不明だが、温故学会の理事長の話ではケンブリッジ大学にあるようだ、とのことでした。
 講演会が終わってから、水谷氏にその詳細を確認したところ、実はまだ確認がなされておらず、温故学会の理事長からもその確認を求められていることだそうです。
 縁あってケンブリッジ大学の図書館と大学には懇意にしていただいている方が数人いらっしゃいます。
 早速、お話の中にあった「光栄記念」の印がある『群書類従』について、英国ケンブリッジ大学の図書館で日本部長をなさっている小山騰さんに問い合わせをしました。

 するといつものように、すぐに以下の回答をいただきました。結論としては、実際にケンブリッジ大学図書館で現在所蔵している、とのことです。

…… 小山騰さんからのメールの一部 ……

『群書類従』の件ですが、当館(ケンブリッジ大学図書館)で所蔵しております。
桐の箱に入っております。
実は、当館内の日本語コレクションが現在収蔵されている場所ではなく、以前日本語コレクションが置かれていた場所にそのまま残されており、簡単にアクセスすることができない場所にあります。
当館には、昭和天皇、今上天皇が訪問した際の自著(サイン)もあります。

 この件については、早々と解決しました。迅速な対応をしてくださった小山騰さんに感謝いたします。
 
 最後は、臼井良雄氏(元神田雑学大学理事)が、「内田嘉吉」について語られました。展示資料と興味深い本の紹介が中心でした。大正から昭和にかけての、これまではあまり見えなかった部分の歴史が、こうした資料から炙り出されてくる可能性があり、今後の展開が楽しみになります。
 
 
 
110826_usui
 
 
 

 臼井氏は、この内田嘉吉が残した資料を調べている内に、自分なりに昭和史を書いてみたいと思うようになった、とのことです。これまであまり見ることのなかった資料が満載の文庫なので、歴史に興味と関心のある方は垂涎の宝庫だといえそうです。
 ただし、文学に関係するものはほとんどないようです。残念です。
 しかし、丹念に見ればいろいろと文化・文学に関する貴重な情報も得られそうな、そんなスケールの大きい資料群です。

 今後とも、この内田嘉吉文庫が活用され、有益な情報が公開されることに期待したいと思います。
posted by genjiito at 00:24| Comment(0) | ◎国際交流