2011年08月10日

岡嶌偉久子さん関根賞おめでとう

 研究仲間である岡嶌偉久子さんが、これまでの研究成果をまとめた『源氏物語写本の書誌学的研究』(2010年5月、おうふう)で、「第6回(通算18回)関根賞」を受賞されました。
 この猛暑の中、暑さが吹き飛ぶ爽やかなニュースです。

 この本については、すでに本ブログの「待望の研究書『源氏物語写本の書誌学的研究』」(2010年5月29日)で、個人的な感懐を含めていろいろなことを書きました。ご笑覧下さい。
 そして、そこでも記したことですが、この本の「あとがき」はぜひご覧ください。

 公私ともにお世話になっている、大事な仲間の一人だけに、第一報を聞いてから我が事のように慶んでいます。

 公開されている情報によると、関根賞は、平安時代の文学、特に私家集の研究の第一人者として知られた関根慶子・お茶の水女子大学名誉教授の業績を称えるものです。1993年から毎年表彰されている、平安時代の文学・語学を研究した女性研究者を顕彰する文学研究の賞となっています。いったん途絶したのですが、2006年から第2次として復活しました。冒頭に「第6回(通算18回)」としたのは、このことによるものです。

 「紫式部学術賞」を授賞された小川陽子さんのことは、本ブログの「小川陽子さん「紫式部学術賞」おめでとう」(2010年3月19日)で紹介しました。
 また、翌年、同じく「紫式部学術賞」を授賞された緑川真知子さんのことは、本ブログの「緑川真知子さん受賞おめでとうございます」(2011年3月19日)に書きました。

 共に、本ブログで著書を紹介した後の出来事でした。
 そして、今回の岡嶌さんも、昨年、上記のようにそのすばらしい本を紹介したものです。
 私は、このような手堅い仕事が評価される機運を大歓迎します。

 『国文学 解釈と鑑賞』が、来月発売となる2011年10月号をもって休刊となります。創刊より75年間、通巻965号でした。
 もう一つの文学研究雑誌だった學燈社の「国文学」も、すでに2009年7月号で休刊となっています。創刊より54年という歴史がありました。
 二つの文学研究の雑誌が消えることになったのです。

 こうした文学研究低迷というよりも衰退の折、私が関係する分野の文学賞は堅実に成果を掬い上げていると思います。私は、読書感想文のような研究論文は、あまり好みません。ほとんどの平安文学の研究が読書感想文という潮流の中で、小川さん、緑川さん、岡嶌さんのような手堅い研究が、着実に成果をあげ、そしてそれが評価されている傾向を歓迎します。

 小学館が刊行する『新編日本古典文学全集』の活字校訂本文と現代語訳を、それもちょこちょこっと読んで論文らしく装って研究と称して発表される風潮は、私が思っている文学研究とは異なります。やはり私は、原典を出発点とする研究に、若い方々も興味をもってほしいと思っています。一年や二年では成果が見いだせないので、若者の焦る気持ちにはそぐわない研究方法でしょう。しかし、コツコツと調べて考えることは、軽佻浮薄な研究とは一線を画する、大事な手続きであり研究手法としてもっと若者にも認知されるべきです。
 研究を志す若い方々は、日々に少なくなっているようです。その中でも、文献を扱う研究は、さらに敬して遠ざけられています。しかし、時間はかかりますが、成果は着実にあがります。

 今春創設された「池田亀鑑賞」に関わっていることもあり、手堅い研究を今後とも紹介することも続けていきたいと思います。このブログを通して、若い方々に少なからず刺激を与えられたら幸いです。
posted by genjiito at 23:51| Comment(0) | ◎源氏物語