2010年11月20日

ポーランド語訳『源氏物語』の新情報

 今秋、立命館大学で開催された中古文学会で研究発表なさった園山千里さん(ポーランド国立ヤギェウォ大学文献学部東洋学研究所日本学科・准教授)から、現在までに収集できたポーランド語訳『源氏物語』に関する情報が届きました。
 まだメモ段階のものだとのことですが、貴重な情報なので、了解を得て以下に紹介します。



翻訳@
Literatura jap?nska od Y do po?owy ]\ wieku
Melanowicz Miko?aj
PWN, Warszawa 1994
〈日本語訳〉
『6世紀から19世紀中葉までの日本文学』
メラノビッチ ミコワァイ
PWN出版、1994年・ワルシャワ
 →未確認


翻訳A
Estetyka japo?ska s?owa i obrazy antologia
Redakcja Krystyna Wilkoszewska
Universitas, Krak?w 2005
〈日本語訳〉
『日本の美学 言葉と絵画 名詩文集』
クリスティナ ヴィルコシェフスカ(編者)
Universitas出版、2005年・クラクフ

概要
『古今和歌集』や『平家物語』などの断片の翻訳と解説文。『源氏物語』はイボォナ コルヂィンスカ・ナブロツカ氏によって、帚木・紅葉賀・絵合・乙女・篝火が部分的に翻訳されている。


翻訳B
W kr?gu tradycji dworu Heian
Redakcja Iwona Kordzi?ska-Nawrocka
Wydawnictwo TRIO, Warszawa 2008
〈日本語訳〉
『平安朝の文化』
イボォナ コルヂィンスカ・ナブロツカ(編者)
TRIO出版、2008年・ワルシャワ

概要
平安時代の文化・文学をテーマにした論文集。執筆者は、ナブロツカ氏とナブロツカ氏のゼミ(2006年〜2007年度)に参加していたワルシャワ大学日本学科の学生。『源氏物語』をテーマにした論文に部分的な翻訳がみられる。


翻訳C
Dziesi?? wiek?w Genji Monogatari w kulturze Japonii
Redakcja naukowa Iwona Kordzi?ska-Nawrocka
Wydawnictwa Uniwersytet Warszawskiego, Warszawa 2009
〈日本語訳〉
『日本文化としての源氏物語千年』
イボォナ コルヂィンスカ・ナブロツカ(編者)
ワルシャワ大学出版会、2009年・ワルシャワ

概要
2008年秋、ワルシャワ大学にて『源氏物語』千年紀にまつわる学会が開催された。三日間にわたる学会発表を論文化した本。個々の『源氏物語』に関する論文の前に、編者ナブロツカ氏とヴィエスワフ コタンスキ氏によって、10巻の部分的な翻訳がされている。巻名は、帚木・夕顔・若紫・紅葉賀・賢木・須磨・絵合・乙女・蛍・篝火。




 まだ、ポーランドでは『源氏物語』の全文を翻訳したものはないそうです。
 こうした部分訳の積み重ねを経て、全訳が誕生するはずです。
 その日が近いことを楽しみに待ちたいと思います。

 また、今月の11月8日と10日に、ワルシャワ大学で開催された以下のシンポジウムのプログラムも、PDFで送っていただきました。
 興味のある方は、以下のタイトルをクリックしてダウンロードしてみてください。



日本文化-その価値観の多様性
西田幾多郎生誕 140 周年記念シンポジウム


 
 
 園山さん、貴重な情報をお送りいただき、ありがとうございました。
 
 私は、日本の若い人たちに、海外での日本の古典文学への取り組みの現状を、さまざまな形で報せるようにしています。
 日本の古典文学のことを、日本の中に閉じこもって考えているだけでは、新しい展望は開けません。これだけたくさんの研究情報が拡がっている現在においては、独り相撲で終わりかねません。
 行き詰まりを打開する意味でも、研究を志す若い方々に、さまざまな刺激を与えつづけていきたいと思っています。特に、海外からの眼で見たアプローチは、たくさんのヒントをもらえます。
 さらには、日本の中で職を探すだけでなく、海外での就職もあることを、海外で活躍なさっている方々の動向から掴んでいただけたら、とも思っています。

 来週の土曜日と日曜日、11月27日・28日には、立川の国文学研究資料館で「第34回 国際日本文学研究集会」が開催されます。ここには、海外で活躍されているたくさんの方々がいらっしゃいます。
 土曜日の夕刻からは、レセプションがあります。来日なさっている方々との懇談も自由にできます。こんな機会を、どうぞ活用してください。
 私も、このイベントから仕事に復帰する予定です。
 たくさんの若い方々がいらっしゃるのを、心待ちにしています。
 
 
 




posted by genjiito at 00:11| Comment(0) | ◎国際交流