2010年11月02日

西国三十三所(31)観音正寺

 安土駅の駅前には、やはり織田信長像が建っていました。
 
 
 
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 駅前の地図を見て、観音正寺への道を確認です。
 
 
 
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 JR琵琶湖線の下半分のピンクとオレンジで引かれた道を、反時計回りで歩くことにしました。3時間の予定で出発です。
 まずは、地図の下回りで平坦な道を40分歩いて、石寺楽市を目指します。

 途中で、京都・山科にある隨心院の小野小町の化粧井戸を思わせる階段式の井戸が、民家の前にありました。昔は、少し大きい家には、こうした井戸があったのでしょうか。突然、さりげなく道端にあったのにはビックリしました。
 
 
 
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 すると、横を新幹線が通過しました。
 
 
 
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 安土の小野小町も水鏡から面をあげ、牛車ならぬ列車が通り過ぎるのを、どう思うでしょうか。

 これから、この標高430メートルの繖山(きぬがさざん)に登ります。
 石寺楽市から、観音正寺への山登りが始まります。お寺まで、急な山道を40分かかるそうです。
 お土産処の前に、巡礼者のための杖がたくさんありました。熊と遭遇したときのために、長めで太くて丈夫そうな竹の杖を一本借りました。
 今日は山道を登るので、今話題の熊に山中で襲われた時のことを考え、百円ショップで鈴を買って来ています。糸で繋げてあるので、これを手に巻き、杖を片手に登りました。
 
 
 
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 最初は、舗装された緩やかな坂道です。
 
 
 
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 しかし、これが次第にその姿を変えていきます。
 西国札所の中でも、ここが一番の難所と言われる札所です。
 これまでに、一度だけですが、バスで途中まで上がったことがあります。何かの特別法要かイベントがあった時なのでしょう。もちろん、今日は歩くしかありません。

 「イノシシ出没につき注意」という掲示があります。ときどき後を振り返ったり、木々の間を見ては、熊やイノシシが飛び出してこないか警戒しながらの山登りです。鈴を握り、緊張の連続でした。
 
 
 

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 山中の道々、傍らに素朴な石仏がいくつもあり、熊の心配さえなければ心安らぐ山道です。

 境内に辿り着くと、ホッと一息つけました。怖さがあったので、30分以上も休むことなく登り続けました。脚を停めた瞬間に、熊が襲いかかって来るような雰囲気があったのです。
 
 
 
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 観音正寺は、平成5年に本堂や仏像が焼失しました。焼けた後、家族みんなで3度行きました。まだ本堂もご本尊もありませんでした。何もない境内が痛ましくて、再興のためにご寄付をしたことを覚えています。
 この新しい本堂は、平成16年に完成したものです。
 
 
 
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 かつてのご本尊は立ち姿の千手観音でした。新しいご本尊は、座像の千手千眼観音さまです。

 仏師は松本明慶氏。松本氏は、京都・大原野に工房を持ち、京都仏像彫刻家協会会長です。平成18年には、京都市上京区に松本明慶佛像彫刻美術館が開館しました。

 今日、ジックリとご本尊さまを拝顔してきました。白檀で作られているそうです。
 この造像の背景が本にもなっていました。前住職の岡村師は、インド産の白檀を手に入れようとされました。しかし、インドでは輸出禁止のものです。そこで、岡村師は20回もインドに渡り、その結果、23トンの白檀を調達することができたのだそうです。信念を感じました。

 壺阪寺もそうですが、日本の仏教とインドとの関係は、今もつながりがあります。インドには日本で言うところの宗教としての仏教はありません。しかし、日本の仏教に対する理解はあります。
 インドとは今後とも、こうした共通する接点を活かした外交をしてもらいたいと念じています。

 なお、この観音正寺には、開基である聖徳太子にまつまる人魚のミイラというものがありました。火事で本堂と共に焼失しました。夢が夢のままになってしまったことが惜しまれます。

 この本堂の横に、観音さまが岩肌に立っておられました。これは、旧本堂の前にあったものを、このようにしたとのことでした。さらに、この林立する岩を、花のようなデザインにする計画があるのだそうです。意欲的に境内を整備しようという取り組みに、好感を抱きました。
 
 
 
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 日本の仏教は、何かと旧態依然とした旧弊を守る姿が眼に付きます。しかし、今に対応したアイデアを盛り込んで、次の世代につなぐ気持ちも大事にしてもらいたいと思っています。
 我々の方も、古いままの、古びたものを有り難がるだけの観光客になってはいけないと思います。常に明日のよりよい姿を模索するところに、宗教があり、信仰があり、参拝があり、観光が後押しをすると思います。生意気なことを書いてしまいました。妄言多謝。

 ここに来ると、いつもチョロギを買っていたことを思い出します。その形が珍しくて、今でも見つけると、つい買ってしまいます。
 
 
 
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 観音正寺の御詠歌は、次の通りです。


あなたうと
みちびきたまへ
くわんおんじ
とほきくにより
はこぶあゆみを

 
 
 
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 御詠歌を書いてもらいながら、いろいろと世間話をしました。この繖山は湖東平野の独立丘陵なので、熊が山伝いに来ることはない、とのことでした。その代わり、イノシシがよく出るのだそうです。納経所の若い方は、自分よりも背丈の大きいイノシシに出会い、怖かったと話してくださいました。
 帰りは、イノシシだけに注意することにします。

 境内からは、蒲生野が眼下に広がっています。
 紅葉も、これからが本番となることでしょう。
 
  
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 帰りには、『桑実寺縁起絵巻で』知られる桑実寺に立ち寄ってから、繖山を下りました。
posted by genjiito at 07:22| Comment(0) | ・ブラリと