2010年01月22日

山岳寺院と宮殿博物館と写本文化

 ウランバートル郊外のボグド山国立公園の中に、山岳寺院があります。
 
 
 
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 氷点下の中を山登りです。
 向かって右がマンジュシュリ寺院で、かつての修道院が今は博物館となっています。
 とにかく寒くて冷え込む中を、おばさんが一階から二階へと、丁寧に説明をしてくれました。
 チベット仏教です。この宗教の話は興味深いものでした。しかし、何と言っても芯まで凍り付く冷たさの中なので、これは夏に来る所であることを痛感しました。

 この寺の左隣りには、廃墟となった寺院があります。
 
 
 
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 これは、社会主義時代に壊された寺院の跡です。無残な姿の内部を歩きました。かつては、この山にたくさんの寺院があり、たくさんの僧が生活していたことでしょう。
 
 
 
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 山肌には、至る所に祠があり、その中には絵が描かれています。
 
 
 
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 楽しい絵を、いくつか見つけました。大らかさが伝わってくる絵です。

 山の麓には、石で作った人の姿をした楽しい石人が、あたりにポツポツと点在しています。
 暗い歴史をくぐり抜けた山岳寺院には、こうした心和ませるものがあります。厳しさを求めるだけではない宗教的な雰囲気が、そこかしこに見え隠れするのがユニークです。

 ボグドハーン宮殿博物館は、街中にありました。
 第8代の活仏であるボグドハーンの冬の宮殿を、今は博物館にしています。
 
 
 
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 暖房などない建物を見て回りました。とにかく、身体がシンシンと凍え付くように固まります。じっくりと見たいのですが、身体が建物の中を嫌います。

 「サマープレイス」という絵の中に、牛車やラクダの荷台に幌があり、その中に人の姿が見えました。まさに、日本の牛車です。『源氏物語』の「桐壺」巻に出てくる輦車(てぐるま)に似た乗り物など、文化的に共通するものを見つけました。
 後でお店などでこの写真を探しました。しかし、帰るまでに見つけられませんでした。
 この絵の横には、B.SHARAN/1869-1939/20世紀初め、という説明がありました。

 ウランバートルの街中にあるアンティークショップにも行きました。
 4軒並んでいる中で、2軒にかつての縦書きのモンゴル語で書いた写本を見つけました。
 中身はお店の人にもわからないものでした。
 とにかく、社会主義時代にキリル文字を使うようになり、民主化されてから、また古いモンゴル語を小学教育で教えるようになったそうです。しかし、主要な単語が読める程度に留まっているのです。今の若い人は、この古いモンゴル語が少し読める人がいるそうです。しかし、中年以上の人はまったく読めないようです。お店の人は、みんな読めません。
 お店の人も、とにかく古い写本を集めているだけで、今、売る気はないようです。値段も、一冊2万円近くしていたので、買うのは控えました。
 私が興味をもったのは、文字を写すにあたり、紙にあらかじめ薄く縦に線を引き、その線の上に文字を書いていたことです。また、上部に横に線が引かれており、行頭が揃うようになっています。
 日本でもそうですが、どこでも文字を写すときには、真っ直ぐに行が整うように、こうした工夫がなされているのです。同じ文化を共有していることに、興味が湧いてきました。

 また、自分の国でかつて使っていた文字が読めなくなることは、文化が断絶することになります。日本でも、平安時代の変体がなが読める人は、年々減っています。学校でも、次第に教えなくなりました。例えば、『源氏物語』の古写本が読める人は、ほんの一握りの方々です。もったいないことです。
 同じ事が、モンゴルでも言えるようです。
 この次モンゴルに来ることがあれば、こうした書写の文化を調べてみるとおもしろそうです。
 街中の散策が、いろいろなことを教えてくれました。
posted by genjiito at 23:58| Comment(0) | ◎国際交流