2009年11月29日

インドからのお客様を小林茂美先生宅へ

 昨日と今日の週末の2日間、国文学研究資料館で「第33回 国際日本文学研究集会」が開催されました。
 今年のテーマは、「語られる人称・なぞらえる視点」です。
 
 プログラム(PDF)
 
 今回が33回ということからわかるように、日本における国際集会としては老舗となりました。30年以上も前から、国際的な研究者の育成に貢献しています。現在、世界各国で日本文学の研究をしている方々のほとんどが、若いときにこの国文学研究資料館の国際研究集会で研究発表をなさっているのです。

 今回、招待研究者としてお呼びしたインド・ネルー大学のアニタ・カンナ先生は、「今昔物語集︰天竺編を中心に」と題する発表をなさいました。スケールの大きな内容で、いい勉強になりました。
 
 
 
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 ここ数年は、私が総合司会としての進行役を務めています。各セッションの座長を務められる先生方の多大なご協力を得て、今年も盛会のうちに終えることができました。
 最後に、国際日本文学研究集会の委員長で東京大学のロバート・キャンベル先生が、2日間の総括をなさいました。
 いつもながら要を得た寸評で、改めてみなさん方の発表のポイントが炙り出されました。17人の研究発表と公開講演のすべてを聴いての総括なので、本当にお疲れのことだったと思います。ありがとうございました。

 ちょうど1年後に、また世界各国から多彩な研究者が集まって、意義深い発表と質疑応答がなされることでしょう。
 春先には、来年度の発表者の募集要項が公開されます。
 元気な若手の参加者を求めています。

 研究集会が終わってからすぐに、今春お亡くなりになった小林茂美先生のご自宅のある田無に向かいました。アニタ・カンナ先生を小林先生の奥さまに引き合わせるためです。
 小林先生の遺言の一つに、遺骨をインドのガンジス川に流してくれ、ということがあったのです。
 来年2月にインドで〈第5回 インド日本文学会〉を開催します。その時に小林先生の願いを叶えるべく、その相談をアニタ・カンナ先生を交えてしました。インドのデリーの方々は、遺骨をガンジス川の上流にあるハリドワールという所へ流すのだそうです。いろいろな話を、アニタ・カンナ先生から聞きました。何事にも好奇心が旺盛な奥さまも、大変興味深く聴いておられました。
 自分も私と一緒にインドに行きたい、と奥さまはおっしゃいます。しかし、体力的にも大変なので、ということでひとまずは思い留まっていただきました。

 法的には問題がないようなので、小さな容器に入れて、私が行ったときに流して差し上げようと思います。奥さまは、自分が行けないなら、その容器を包むものを布で作るとおっしゃっていました。どのようなものをお作りになるのか、楽しみにしたいと思います。

 突然、インドからのお客様をお連れしたので、小林先生の奥さまも信じられないお気持ちの中で、あり得ないことが目の前に展開していることに感激しておられました。遺影の横に初夏に刊行した『源氏物語別本集成 続 第6巻』(伊井春樹・伊藤鉄也・小林茂美編)があり、アニタ・カンナ先生にも見てもらいながら、奥さまが私との40年来の話をしておられました。そして、この第6巻となる本が小林先生に見てもらえなかったことも。

 我々が帰るとき、足がお悪いのに玄関先まで出て見送って下さいました。角を曲がるとき、私の名前を呼ばれるので振り向くと、大きく手を振っておられます。喜んでもらえたことが伝わり、ありがたく思いながら駅に向かいました。
posted by genjiito at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎国際交流