2009年11月26日

谷崎全集読過(2)「麒麟」「少年」

■「麒麟」

 美しさに打ち勝とうとする人間の姿を描きます。
 霊公の妻南子は、悪魔として語られます。孔子は、その影響を受けない聖人でした。
 一旦は、徳を好む孔子に傾いた霊公でした。しかし、最後は夫人の好色に帰します。
 この作品は、論語のことばで終わります。私には、この小説の良さがまだよくわかりません。
 聖人が生まれる時に現れるという麒麟は出ませんでした。題名との関係も、よくわからないままです。【2】

初出誌︰明治43年12月号「新思潮」


■「少年」

 可愛い女のような信一が、自分の家では荒くれを縛ったり鼻糞を付けたりしている。人間の二面性を活写します。
 学校ではガキ大将とひ弱な男が、家に帰るとその立場がまったく逆転したイジメの世界に生きています。そこに快感を覚える倒錯の様が描かれていきます。五感による快楽の世界です。男3人による異様な遊びは、子供が持つ好奇心の一端でもあります。
 別の日には、姉も加わり、4人で遊びます。姉を縛ったりしての遊びに興ずるのです。子供の話だけに、おもしろおかしく語られています。しかし、そこには作者の狙いがあるのです。人間の本姓を暴きたいのでしょう。
 いじめられることの快感は、今でもSMプレイとしてあるようです。「拷問」という語が何度も出ます。それが、次第にエスカレートするのです。
 姉も本性を見せ、男たちをイジメにかかるのです。姉は女王様に、男たちは奴隷に化していきます。不思議な雰囲気を持った小説です。
 作中に英単語がでてきます。前半に「ecstasy」が、後半に「Urine」が。この傾向は、この後さらに多くなっていきます。【4】

初出誌︰明治44年6月号「スバル」
posted by genjiito at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | □谷崎読過