2009年06月16日

井上靖卒読(76)「謎の女(続編)」「夜靄」

■「謎の女(続編)」は、『新青年』(博文館)の昭和7年1月号に掲載された、平林初之輔(昭和6年6月パリで客死38歳)の遺稿「謎の女」の続編が募集されたことに応じて、井上靖がペンネーム冬木荒之介で応募した小説です。

 応募作50編の中から本作品がみごとに入選し、『新青年』の3月号に掲載されました。
 井上靖にとって、公表された最初の小説とであり、記念すべきものです。

 「前篇の梗概」が巻頭にあります。しかし、私が平林初之輔が書いた前編を読んでいないせいか、話の流れがよく理解できませんでした。
 やはり実際の作品をいつか読むことにします。

 最後のどんでん返しが、この話のポイントでしょう。
 文章がしっかりしています。構成も、キッチリと組み上げられています。前編が読みたくなります。

 読者を話に引きずり込み、一緒に考えさせる手法は、本当にうまいと思います。【3】

 井上靖は、2年前の1930(昭和5)年に、九州大学を学籍抹消となり退学しました。
 本作品が公表されたすぐ後の4月、京都帝国大学文学部哲学科美学美術史専攻に入学し、京都大学に近い左京区吉田神楽岡町に下宿します。

初出誌︰『新青年』(博文館)
初出号数︰1932年3月号


井上靖全集1︰全詩篇・短編1




■「夜靄」

 非常に短い話です。
 最後のどんでん返しに、話が混乱しました。この最後を、3度も読み直しました。
 何となく、もう一度読みたくなる作品です。
 運命のいたずらを切り取って描いた話となっています。
 本作品は、冬木荒之介のペンネームで、『探偵趣味』に応募してみごとに入選した小説です。【2】


初出誌︰『江戸川乱歩全集』(平凡社)第11巻付録雑誌『探偵趣味』
初出号数︰1932年4月、第12号


井上靖全集1︰全詩篇・短編1
posted by genjiito at 19:35| Comment(0) | TrackBack(0) | □井上卒読