2008年10月12日

地球文学の講演

 昨日と今日は、国際日本文学研究集会でした。
 今回が32回目となるので、日本における文学関係の国際集会としては老舗です。
 私は2日間の総合司会として進行役を担当していたので、終日席を外せませんでした。

 今回のプログラムは、なかなか充実した内容でした。
 個人的なメモを記しておきます。

 本日、2日目の最後は、招待講演でした。
 「地球文学としての物語の可能性と行方」と題する、プリンストン大学教授の岡田 Richard 英樹先生のお話を聞きました。
 講演の前に、講師のご紹介をする関係で、岡田先生にいろいろとお尋ねしました。
 先生ご自身はアメリカ生まれのアメリカ育ちでしたが、ご両親が奈良県のご出身とのこと。私も最近まで奈良にいました、と言うと、お互いの顔が急に緩み、お話がしやすくなりました。
 現在は、イギリスの出版社から刊行予定の、英語で書かれた『源氏物語』の論文集を編集なさっているそうです。

 岡田先生の講演が始まると、とにかく日ごろは耳にしないことばが飛び交います。
 「地球文学」とか「惑星文学」のお話は、「世界文学」という範囲しか想定できない私には、そのスケールの大きさに付いていくのがやっとでした。

 さらには、「エコ源氏」の話は興味深く聞きました。
 「『源氏物語』のエコメンタルスペースを切り拓くべきだ」というくだりは、必死に聞きましたが、私の知能がついていきません。
 「環境問題を考える時、『源氏物語』はすばらしいテキストである。」という話も、私の頭の中は理解しようとしながらも空転しました。

 日ごろ、このような切り口で考えたことがないので、非常にいい刺激を受けました。
 考える、ということの大切さを痛感しました。

 この2日間、進行の切り盛りで疲労の極致にあった私でしたが、この岡田先生の話で、異次元を見た思いにさせられました。

 今回の国際日本文学研究集会の委員長は、東大のロバート・キャンベル先生です。
 キャンベル先生は、最近はテレビのコメンテーターなどで大活躍なので、ご存知の方も多いことでしょう。
 先生は、東大に行かれる前は、国文学研究資料館にいらっしゃいました。
 今回の国際集会の最後に、総括をお願いしました。いつもながらのシャープなまとめ方に、見習うべきことの多いことを知らされます。その語り口には脱帽です。
 そのキャンベル先生の先生が岡田先生だったという話とエピソードの披露は、参加者を大いに楽しませてくださいました。


 今回の国際集会には、『源氏物語』のスウェーデン語訳の発表をお願いした、ストックホルム大学のスティーナ・イエルブリンさんが約束通り来てくれました。
 年末に刊行予定の『源氏物語【翻訳】事典』で、スウェーデン語訳の項目を担当してもらった方です。
 これまでは、メールによる連絡と文書のやりとりだけだったので、お目にかかったのは初めてです。そして、女性であることを知りました。
 海外の方とのおつきあいで、こうした経験は何度かしています。
 すばらしい日本語を話されます。そして、しっかりした日本語をお書きになります。しかし、メールなどの文章だけでは、女性であることがわからなかったのです。これは、日本語の特徴なのでしょう。

 海外からおこしになった方々とは、今後とも、いろいろな情報を交換したいと思います。
posted by genjiito at 20:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎国際交流