2008年10月04日

3本対照「桐壺」校訂本文の試作版

 源氏物語を読むというと、第二次大戦以後は、大島本をもとにした活字の校訂本文を、私たちは読んで来ました。

 それが、近年は本文に対する意識が高まり、

「今、私たちが読んでいる本文はいったい何なのか? 」

という疑念が持たれるようになり、そこから、

「大島本とは何なのか? 」

という問題が議論されるまでになりました。

 現在編集刊行を続けている『源氏物語別本集成 続』の意義が、少しずつではありますが認識をされだしたことは、それに関わる者の一人として、責任の重さを感じています。

 大島本について考えるにしても、私たちの手元には、大島本で作成されたテキストしか共通の資料がありません。
 『源氏物語別本集成 続』は、あくまでも研究者のための本文資料集です。

 大島本の活字校訂本文だけを机上に置いて、大島本についての論議をするのは変です。これでは、源氏物語の本文については、いつまでたっても進展しません。
 大島本を相対化するものがないのですから。

 大島本以外の信頼すべき古写本で作成した校訂本文が、強く求められていました。
 いつもお世話になっている室伏信助先生からも、河内本だけでもいいので、本文を校訂して、みんなが読めるようにしてほしい、と言われてきました。

 すでに、陽明文庫本については、『源氏物語別本集成 続』で、その校訂本文を提示してきました。
 そこで、大島本に替わるものとして「池田本」(天理図書館蔵)を、「尾州家河内本」に替わるものとして「天理河内本」(天理図書館蔵)の校訂本文を作成し、陽明文庫本と合わせた3本を対比できるようなテキストを作成することにしました。

 校訂本文については、南里一郎氏と福田智子氏の協力を得ました。
 そして、3種類の校訂本文を見やすく整形するプログラムは、川ア廣吉氏の援助を受け、ひとまずは「桐壺」の試作版を作成しました。


 いろいろな方に見てもらい、よりよいものにしていきたいと思います。
 まずは以下のPDFファイルをご覧いただき、ご意見をいただければ幸いです。

 「三本対照校訂本文『源氏物語』桐壺(試作・第一版)」は、産声をあげたばかりのものです。

 不備が多いことと思います。
 注記や語釈も必要でしょう。
 すべてが、今後の問題です。

 とりあえず、試作版の提供とさせいてただきます。




「三本対照校訂本文『源氏物語』桐壺(試作・第一版)」
posted by genjiito at 11:12| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎源氏物語