2008年05月26日

わが母の記(2)階段から落ちる

 私が3歳くらいのことでした。
 本家の離れの屋根裏部屋にいたのですが、我が家の生活空間はそこの2階だったので、階段というよりはハシゴで上り降りをしていました。

 あるとき、急にトイレに行きたくなりました。
 母がいないので、上からハシゴの下に向かって呼ぶと、母が下から顔をのぞかせて、ここだよ、と応えてくれました。洗濯か水仕事をしていたのでしょう。
 私は、大急ぎでズボンとパンツを下ろして、降りようとした時です。自分が下ろしたズボンとパンツに、足が入ったままであることに気づかないまま、足を踏み出していたのです。
 アッと言う間もなく、まっさかさまに落ちました。慌てふためいた母のさまを覚えています。着物に白い割烹着をしていたように思います。

 結局、前歯を1本折るだけですみました。母とバスに乗って、出雲市駅の近くにある歯医者に行きました。
 その数年後に、真ん中からいびつな歯が生えてきました。さらに数年後、小学生の低学年の時にその歯を抜き、できた空間を矯正によって中央に寄せる装置を嵌めていました。

 苦労して真ん中に寄せた歯も,いつしか虫歯となり,今では前歯の3本は差し歯になっています。

 以来,高所恐怖症です。特に,隙間のある階段は苦手です。
 あろうことか、立川の新しい職場の階段は,板切れを並べた状態の、下が丸見えのものなのです。また、ガラス張りの空間に階段があるので、否が応でも下が見えるのです。


Gdmero3v_s館内の階段



 私は3階にいるのですが、できるだけ中央の少し薄暗い非常階段を我慢して使うか,エレベータを利用しています。
 階段の踏み板の隙間から下が見えると,自ずと足が竦むのです。
 下に人の姿が見えると,母が下から顔を出した時の記憶が蘇るのか,足が退けることがあります。

 そのせいもあって、ガラス張りのエレベータもダメです。
 新館のエレベータが、そこまで斬新な設計ではなかったことに、救われる想いがしています。




posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | *回想追憶