2008年05月01日

源氏千年(39)朝日「人脈記」8

 第8回は、「読み手の人生織り込んで」(関東版)/「映し込む読み手の人生」(関西版)です。

 最初は、伊吹和子さん。これまでにも、いろいろなエッセイを読ませていただきました。確か、谷崎潤一郎は『源氏物語』があまり好きではなかった、とどこかに書いておられたように記憶しています。
 川端康成の方が、「谷崎より深く『源氏』を読んでいたのではないか」と言われることに、私は興味を持ちました。逆のように思うからです。私は、川端は『源氏物語』とは遠い作家だと認識しています。谷崎の方が、『源氏物語』の世界に憧れていたのではないでしょうか。ただし、その現代語訳に取りかかってから、『源氏物語』の扱いにくさという点で、あまりのめり込めなくなったのではないでしょうか。山田孝雄の検閲を必要としたことも、思うに任せぬいらだちを引き起こしたようにも思われます。

 伊吹さんの「紫花の会」のつながりで、人間国宝の志村ふくみさんへとバトンが渡ります。
 志村さんについては、本ブログでも取り上げました。

 「源氏千年(24)月で読み解けるか」
 http://blog.kansai.com/genjiito/238

 志村さんと娘さんとのレクチャーに参加した時の報告です。

 志村さんのレクチャーでも「月」が話題として取り上げられていました。
 今回の記事でも、伊吹さんが「月」を話題としておられたことが書かれています。
 「月」というのは、日本の文学を語る時に、重要なテーマとなるようです。私も、井上靖の小説『星と祭』のテーマの延長上に「月」を考えているので、なおさらです。
 改めて、「日本文学と月」について、問題意識を持つことにします。

 3番バッターの堀文子さんは日本画家です。雌カマキリの話は印象深いものでした。

 今回登場の3人は、いずれも80歳の女性ということで、『源氏物語』と人生についての接点で結ばれていました。

 『源氏物語』の多面的な受容相が浮き彫りになり、この作品を読んでみようか、と思うようになられた方も多いのではないでしょうか。
 古文の原文に始まり、現代語訳や外国語訳、そして漫画にアニメに映画と、さまざまな形で『源氏物語』を受容できる環境が提供されています。

 『源氏物語』は本当に恵まれた作品だと、つくづくと思わされます。



posted by genjiito at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎源氏物語