2008年04月29日

源氏千年(37)錦織の源氏絵巻に驚嘆

 相国寺にある承天閣美術館へ行きました。
 先週から始まった、「山口伊太郎遺作展 源氏物語錦絵絵巻」を見るためです。


Qfgamgj1_s承天閣美術館



 織物で国宝の源氏絵巻を織ったもの、ということで、百聞は一見にしかずと、早速でかけたのです。
 見て驚きました。とにかく、言いようのないほどにすごいものを直に見て来た、というのが実感です。
 人間のすることはすごいものだと、大きなエネルギーをもらって来ました。

 山口伊太郎さんは、京都西陣を代表する織物作家でした。それが、昨年6月に105歳で亡くなられたのです。
 その山口さんが、37年かけて「源氏物語錦織絵巻」を完成させたのです。
 実は、最終巻の第4巻は、山口さんの没後も職人さんたちが織り続け、先月やっと織り上がったのでした。田村邦夫さんは、第1巻からずっと織り手を務めて来られたのだそうです。
 この第4巻は、幅33センチ、長さ約12メートルもの大作です。
 極限まで織物の可能性に挑んだ山口さんの意思が、こうして源氏千年紀の春に結実したのです。
 絵巻の詞書も忠実に織ってあるのですから、見ているだけで織物の不思議な世界に引き込まれます。

 今回は、第4巻が完成したことによる、全4巻の展覧でした。しかし、すでにこれまでにも、第3巻までは、何度か展示されていたようです。
 私は、今回はじめて拝見しました。ただただ目をみはって見つめるだけでした。
 緻密な織物に感激して帰って来ました。日本人が伝えて来た技術に脱帽です。その伝統を、このように形として残す職人さんと、それを包み込む芸術家の集団の快挙でしょう。
 国宝の源氏絵巻の複製と思っていた私は、とんでもない思い違いをしていました。

 今回の展示パネルに、こんな説明文がありました。
 「柏木(一)」で、朱雀院が女三宮を前にして苦悩する場面についてです。


伊太郎はある日、月参りに訪れた鷹ヵ峯源光庵のお坊さんに、いろいろとポーズをとってもらって、衣がどのように重なって、下のものがどんなふうに透けて、どこに影ができるか、克明に研究し、図中の院の衣を織り上げました。「鈴虫(一)」で侍女の衣が透けているように浮かして織っていますが、これも白い下着に対して、墨染めの上着は浮かせて二重構造で着せています。


 これだけでも、この錦絵が単なる模写ではないことがわかります。

 この錦絵は、実際に自分の目で見て、見る角度によって色が変化し、立体的に見えるところを堪能すべき作品だと確信しました。写真や図録もありますが、それは単なる平面的な、その場限りの映像にしかすぎません。

 自分の目で見ることの意味を、改めて痛感させられました。
 展覧会は、今年の7月6日まで、同志社大学の北隣にある、相国寺の美術館でやっています。





posted by genjiito at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎源氏物語