2008年04月28日

源氏千年(36)朝日「人脈記」6

 「ニッポン人脈記 千年の源氏物語」の第6回は「王朝の香り あくなき探求」(関東版)/「王朝の香りに酔いしれて」(関西版)です。

 先般、私は松栄堂で催された聞香の会に参加したばかりでした。

「『源氏物語』のお香と、初めての聞香」
http://blog.kansai.com/genjiito/249

 興味を持ち出したばかりでもあり、まったく知らなかった世界が身近に感じられます。

 過日の「源氏千年(30)朝日「人脈記」4」でも触れたことですが、河添房江先生の『光源氏が愛した王朝ブランド品』(角川選書、2008.3)に薫物の章があり、藤原範兼が鳥羽上皇の命で編纂した『薫集類抄』のことも引かれていました。
 またまた、薫物に関する章の見出しだけですが紹介しておきます。

「八 平安のフレグランス その一 『うつほ物語』と『枕草子』」
 ・シャネルの五番
 ・日本の香文化の源流
 ・儀式に使われる薫物
 ・ギフトとしての薫物
 ・『うつほ物語』と『枕草子』の不思議
 ・『このついで』の美学
「九 平安のフレグランス その二 『源氏物語』の世界」
 ・梅枝巻の薫物合の世界
 ・蛍宮の八方美人ぶり
 ・薫物と四季の美意識
 ・鈴虫巻の持仏開眼供養の香り
 ・香りがまじりあう効果

 お香の世界が、ぐっと日常レベルに近づいてきました。

 鳥毛逸平氏はもちろん、建築家の安原盛彦氏についても、今回の記事で初めて知ることが多くありました。『源氏物語』が幅広い分野の研究対象になっていることがわかります。

 村上征勝先生の計量文献学の成果については、先生が統計数理研究所においでの頃からお話を伺っていた話です。それだけに、あの結果を先生ご自身が現在はどのように評価なさっているのか、もう少し突っ込んでもらえたら、と思いながら読みました。

 それにしても、掲載スペースと字数の制限の厳しさを思わざるを得ません。残念です。
 今回の取材にあたって、膨大な情報が白石さんの元に集まっていると思われます。そうした資料と情報を、ぜひとも再構成して、『源氏物語』の現在について一書にまとめていただくことを熱望します。
 源氏千年の年だからこその、『源氏物語』の受容史を総括する、意義深い成果となることでしょう。

 今日の記事が「こんな『源氏』の読み方もある。」と締めくくられており、多くの方々が「なるほど、『源氏物語』は奥が深いものだ」と思われたことでしょう。

 明日の夕刊はお休み、とのことです。
 夕刊を手にする楽しみが一日延びたのは、残念なようで嬉しいものです。


posted by genjiito at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎源氏物語

鞍馬寺にある晶子の源氏訳自筆原稿

 洛北鞍馬の鞍馬寺に、与謝野晶子が『新新訳源氏物語』を著した時の自筆原稿があります。
 すべてではありませんが、「乙女」「玉鬘」「東屋」が大切に保管されています。

 なぜ鞍馬寺に晶子の自筆資料が、と思いますが、これは、鞍馬弘教を開宗した先代住職の信楽香雲氏が、与謝野門下の歌人であったことに起因します。
 お寺に隣接する霊宝殿(鞍馬山博物館)の2階には、与謝野鉄幹と晶子の遺品を展示した与謝野記念室があります。また、霊宝殿の前には、昭和5年に建てられた与謝野晶子の書斎「冬柏亭」(東京の荻窪にあったもの)が移築されています。
 これまた、与謝野の門下生であった岩野氏と信楽香雲氏の縁があってのことですが、詳細はまたいずれ記します。

 この晶子の自筆原稿を、今秋開催する国文学研究資料館の「源氏展」で展覧するために、事前の打ち合わせを先月来おこなっていました。そして、過日の打ち合わせの折に、原稿の文字が徐々に消えていっているのだが、という相談を受けました。
 ブルーブラックの万年筆で書かれているために、退色が進んでいるようです。
 早速その問題を持ち帰り、内部で相談したところ、とにかく光を当てることを最小限にする以外にはなく、デジタル撮影による資料収集をして、画像データベースとして公開することで、更なる被害を食い止める方向で了解がとれました。

 また、鞍馬寺からもデジタル保存による対処に理解と同意がいただけましたので、昨日、具体的な方針の説明と撮影等の打ち合わせをするために、鞍馬寺を訪問しました。

 ケーブルカーで上がってすぐに聳える多宝塔のまわりは、八重桜が満開でした。


Wq_0zvo0_s多宝塔と満開の八重桜



 京の町はもう桜は散っていますが、まだ鞍馬の山桜は咲いています。
 本殿金堂から寺務所を望むと、ここにも八重桜がみごとに満開でした。


Xuouss2o_s本殿金堂



 広報担当のS氏は非常に熱意と理解のある方で、今後の対処についてスムーズに打ち合わせることができました。
 展示資料としてお借りすることから始まり、さらにデジタル保存の実現へと、大切な資料が最良の方法で公開できるようになり、交渉担当者としてはホッとしています。
 この晶子の原稿については、神野藤昭夫先生のご教示と、先生の事前調査に負うところの大きいものでした。連係プレーが実を結んだ、ということになります。

 早速、さまざまな手配を施しますが、秋には与謝野晶子の『新新訳源氏物語』の自筆原稿がネットを通して確認してもらえるように、出来る限りのお手伝いをさせていただきます。

 この自筆原稿の紹介等は、国文学研究資料館の特別展である『源氏物語展』の展示図録(思文閣出版)で、神野藤昭夫先生にご執筆いただいていますので、詳細はしばらくお待ちください。




posted by genjiito at 08:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎源氏物語