2008年03月28日

源氏千年(18)女流六人展

 京都市中京区にある「染・清流館」で、「王朝絵巻 女流六人展」がありました。
 会場は、四条・烏丸駅の近くで、隣には京都芸術センターがあります。いい立地に加えて、建物も気に入りました。


Yxgnbml3_s六人展



 今回の展示は、源氏物語をテーマにしての女性美術工芸作家6人が競作、ということで、楽しみにして6階に上がりました。和室風の入り口で、上がり框が低い板材で、展示場も質素な畳なので、非常にいい雰囲気を醸していました。

 作品を見ていくうちに、『源氏物語』とか「王朝絵巻」というテーマが感じられない作品展であることに気づきました。

  源氏物語千年紀に合わせた企画展で、平安王朝にちなみ女性作家だけの展覧会にしたとのことですが、この作品の配列では、設定されたテーマに無理があります。

 『源氏物語』や「王朝絵巻」を意識して制作されたものは、唯一、染色の兼先恵子氏の「源氏物語」シリーズだけだと言っても過言ではありませんでした。その他は、「王朝絵巻」の雰囲気があるといえばそんな気がする、というものでした。

 私はこうした分野には素人なので、まったく的が外れた解釈をしているのかもしれません。しかし、もしそうでなければ、もっと親切な説明なりキャプションを付けてもよかったのではないでしょうか。

 兼先恵子氏の作品は、麻布を糊型染の着物仕立てにしてものに、『源氏物語』に出て来る6人の女性をイメージさせる絵を描いたものでした。これは、テーマに沿ったものでもあり、じっくりと見入ってしまいました。私は、『源氏物語』をテーマにした作品展だと思い込んで入ったのですから。

 (1)覗き見る女 空蝉の帖 1999年
 (2)紅いはな 末摘花の帖 1999年
 (3)涙灑ぐ海 須磨の帖  2003年
 (4)空蝉 関屋の帖    2005年
 (5)松風 松風の帖    2006年
 (6)朝顔の姫宮 朝顔の帖 2008年

 いずれも大胆な構図と色使いで、また改めて見る機会を得たいと思いました。

 それ以外は、これが『源氏物語』なり「王朝絵巻」というものとどう関わるのか、ということを考えながら見ました。そして、私にはどれも接点が見いだせませんでした。何かヒントでも提示されていればいいのですが、とにかく作品が投げ出してあるだけで、自分の美的鑑賞力で解釈せよ、というものでした。
 このような独りよがりな展示方法は、博物館なり美術館では今ではほとんどやりません。個展ならではの展示法といえるでしょうか。
 個展であるならば、自分たちの発表の場であるならば、入館料の300円というのはどうでしょうか。この程度のものでは、高いと思います。
 ただし、いい展示会場を見せてもらったので、それへの対価だと思えば、それで納得できるほど、いい雰囲気の展示スペースでした。

 テーマなりタイトルなりに引かれて来た者には、失望を与えるような、期待感をずらすような内容は、後味の悪いものです。広い心で、美というものを堪能すればいい、という方もおられるかと思います。
 しかし、素人の立場から言って、今回の内容は、何といっても観覧者に肩すかしを食わせるものだったと思います。
 お祭り騒ぎに便乗しての、寄せ集めの作品展となってしまったのは、見せられる者も見せる側も、共に意思の疎通を欠くものとなったのは残念です。

 あまり貶してもいけないと思いつつも、悪く言えば、源氏千年紀に悪のりした作品展に仕立て上げたものになっている、と書くと言い過ぎでしょうか。
 これは、制作者の方々の本意ではないでしょう。しかし、結果として、設定されたテーマから見れば、そう言う感想を私は持ちました。

 パンフレットで制作者の経歴を見ると、みなさんいろいろな賞をお取りになっている方々のようです。みなさん大学の先生のようです。多くの方々から評価をされているのでしょうが、それだけに、全体として設定されたテーマから見るとバラバラだったのが残念です。

 昨年亡くなられた截金(きりかね)の江里佐代子氏は人間国宝であったとか。知りませんでしたが、このテーマでなければ、別の視点で堪能できたと思います。

 いろいろな意味で、いい勉強になった展覧会でした。
 私も、今後の展示の企画を立てるときには、このような印象を与えないように気を配りたいと思います。




posted by genjiito at 01:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎源氏物語