2008年03月16日

京洛逍遥(28)築150年の京町家カフェ

 マイカーに乗らない生活は快適です。
 車を処分してからは、バスと地下鉄、そして阪急と京阪電車を利用しています。京の町は、自分で車を運転する必要性を感じさせません。
 何となく肩の荷が下りたように思います。
 あんなに車の運転が大好きだったのに、こうして好きなように歩いて街に出られるのは、気分的にも楽です。こんな気持ちになれるのは、奈良の山の中の生活ではなくなったことと、子供が大きくなって手を離れたからです。

 車のない生活の楽しみ方が、新たにわかりました。
 今日は、2台目の中古のサイクリング用自転車を買いました。
 我が家から町中へは、あまり漕がなくても走れますが、帰りは北へ向かって必死に漕ぐことになります。そのこともあって、変速機は3段のものがついている自転車にしました。

 買ってから防犯登録を済ませると、そのまま丸太町の松栄堂へ聞香の用事で行きました。暖かくなったこともあり、風が心地よい町中のサイクリングです。
 通りの様子を、自転車のスピードで、自転車からの視線で見ながら行くと、これまで見ようともしなかったものが、自然と眩しいくらいに目に飛び込んで来ます。車からは見えなかったものが、どんどん網膜に押し寄せてきます。これは、非常におもしろい体験ができることに気づきました。

 平安時代と現代という、千年の時間と空間を彷徨う自分の中の思いを転がしながら、自分がこの平安京の真ん中を移動していることの快感が、自転車から身体への振動として伝わってきます。
 まさに、時空を楽しむことが、こんなに簡単にできるのです。大発見です。

 松栄堂のウインドーの中には、源氏物語のお香「少女」のそばに、あざやかな藤が活けてありました。玄関で焚かれていたのは「堀川」でした。

 二条城へ向かって漕ぎ出し、堀川通りに沿って縦に走る油小路通りの町屋を散策しました。
 途中で、突然見つけた歯医者さんは、なかなか雰囲気がありました。


M31bu6tf_s歯医者



 こんな歯医者で直してもらいたいものです。
 診察台は、どんな形をしているのでしょうか。
 リクライニングの椅子に座るのか、ベッドに横になるのか、それとも木の椅子なのか。電気ドリルはどんな形で、どんな音がするのか、いろいろと想像を刺激してくれます。

 油小路通りを北に向かって漕いでいる時に、『古書と茶房 ことばのはおと』が気になりました。場所は、御所と二条城の間と言った方がわかりやすいでしょうか。そこで、一休みしてお食事タイムです。


Sktzesz9_s古書茶房



 入口には、椅子に立て掛けたメニューの前に、コーヒーカップと、なぜか川端康成の『雪国』が置いてありました。それも、雨風に打たれた名残を色濃く留めた、クタクタになった新潮文庫です。


Goxil9yg_s『雪国』



 ここにおくなら『古都』でしょう、と突っ込みたくなりましたが、この意味不明なところが気に入りました。

 ここは、築150年の京町家をカフェにしたところだそうです。我が家も、もとはこんな作りだったのでは、と思わせるような天井や土壁の中の隠し階段がありました。

 中は、絵画関係の本が目に付きましたが、いろいろな本が壁際にありました。私の好きなちばてつやのマンガもありました。レトロ調の品揃えで、店内の雰囲気を作っています。

 私が座った真ん中の席から表を見ると、こんな様子です。


7owjreaw_s表の様子



 中から裏庭にかけては、こんな様子です。
 鉄瓶や火鉢がアクセントになっています。


Daqie5rb_s奥座敷



 食事は、豆腐のハンバーグにしました。あっさりしていて、いい味でした。みそ汁が、出しジャコのいい味が出ています。野菜もたっぷりです。カレー料理が人気の店のようですが、私はインドのイメージがあるので、一応避けておきました。

 さらに、なによりも気に入ったのは、帰りがけに、若いご主人と奥さんが黒い潜り戸を出てきて、丁寧に玄関口で挨拶をして見送ってくださるのです。一人一人の客人を大事にしておられることが伝わり、気持ちよく食事を終えて店を出ました。
 店内に半日いる人もいたそうです。ご主人が寡黙で気遣いをさせない人のようで、居心地のいい店でした。

 自転車でさらに北上し、宝鏡寺の人形展を見に行きました。このお寺は、皇女和宮が幼少の頃、ここの庭で遊ばれたとか。また、八代将軍義政の妻であった日野富子との縁のある寺でもあります。


4orag2pi_s宝鏡寺



 この寺には、昨年もこの時期に来ました。
 実は昨年、この寺の帰りにブラブラと植物園の方へ足を向けたことが、今の住まいを決める結果となったのです。京に住む縁となったお寺だけに、春には訪れたいところです。

 



posted by genjiito at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎京洛逍遥