2007年07月29日

スクーバ・ダイビング(5)

 今日は、スクーバ・ダイビングの筆記テストでした。
 昨日は所属する研究会での司会や発表などがあり、帰ったのも遅くて試験対策が出来ませんでした。今朝はやっつけで練習問題の答えを暗記しながらの泥縄方式です。3時間ほど勉強して、ダイビングスクールへ行きました。

 少し早く行って、計算問題の解き方でわからないところを教えてもらいました。
 どんなことかと言うと、人間はダイビング中に空気に79パーセント含まれる窒素を吸収します。その窒素ガスが身体の細胞に溶け込む量が多いと、人体に悪影響を及ぼすことになります。というか、生命を脅かすものとなります。
 身体に吸収される窒素の量は、潜る深さと時間とに密接に関係します。うまく身体から窒素を排出しないと、減圧症といわれる重大な被害を人体に及ぼします。そこで、窒素の量を限界内に留めるために、ダイブテーブルやダイブコンピュータを使って、潜る深さや時間や休憩時間などをあらかじめ計算して計画し、安全なダイビングをすることになります。
 簡単に例え話で言うと、炭酸飲料のフタを開けた時に、泡が噴き出します。あの、不要な泡が体内に留まっていると、疲労感や酷い場合には意識不明になるのだそうです。

 そんなことにならないように、あらかじめ潜水計画を立てる際に、潜る深さと時間と休息時間を計算をして、減圧症にならないようにするのです。もしくは、ダイビング中に何かの事情で潜水深度が深くなり過ぎたり、潜水時間が延びたりした場合に備えて、実際には、ダイブコンピュータという腕時計式のものを使います。私も、8万円以上もするダイブコンピュータという腕時計を買いました。不測の事態に命を守るための投資と観念しての買い物です。しかし、コンピュータは壊れることがある、というすばらしい考えの元に、小さなボードに記された表を使って計算する練習をするのです。なんと人間的な発想でしょうか。
 そのプレートボードは、こんなものです。まずは表面。

Rf1i0oa6_s計算表1


そして、裏面です。

T01iltd6_s計算表2


 コンピュータに全幅の信頼を置かない思想に共感します。しかし、こんな表をもとにしての勉強は、できることなら逃げたいものです。今回限りと言い聞かせないと、ノイローゼになります。

 そんなことばかりを言っているわけにはいきません。テストでは、この計算問題が1割以上とのこと。つまり、6・7問はこの問題が出るので、この対策が合否を分けるとも言えましょう。ただし、合格のラインは示されていません。これが、社会人のライセンスらしいところです。
 この試験自体がそんなに厳密なものではなくて、緩やかな監視の元に実施されるようです。また、採点も厳しくはないとのこと。しかし、それを鵜呑みにするのも不安が伴うので、可能な限りの努力をするしかないのです。試験前の学生の心境が、こんな時によくわかります。気休めに聞こえる慰めは、こんな時には不要なのです。

 さて、インストラクターの方には、テキストにあった練習問題について、3問を質問しました。いずれも、上記の表を使って答えを出すものです。
 例えば、こんな質問があるのです。

「最初のダイビング:18m/50分、2回目のダイビング:14m/60分。この反復ダイビングを実行するために必要な最小水面休息時間はどのくらいですか?
 a. 0:42
 b. 1:34
 c. 1:18
 d. 1:00 」

 表が印刷されたプレートをひっくり返しながら悪戦苦闘しても、こんな練習問題はわかりません。このプレートに説明書が付いていたのを知らなかったので、自習段階で皆目わからないのは当然です。授業で聞いた説明を思い出しながらやってみましたが、時間ばかりが経つのです。

 質問をしたインストラクターの方は、どうもこの問題がよく分からない方だったようで、しばらく自信なさそうに沈黙の後、相当時間が経ってからようやく説明をして教えてくださいました。こんな時は、誰か分かる人はいませんか、と相手を外す発言はためらわれます。日本的な発想による、事態の雰囲気を悪くしたくない、という心優しい思いやりの文化を共有しているせいでしょうか。
 しかし、次の問題で手も足もでないことになって躓いたその方は、もう一人のインストラクターにバトンタッチとなりました。そして、今度の方の説明によると、先ほど教えてもらった遣り方は、まったく違う説明だったことがわかりました。もちろん、そんなことはこの方に告げ口はしません。とにかく、試験を受ける直前なのですから。主催者側の気分を悪くしかねないことはしないのが、日本の対人関係を円滑に保つ対処方法です。
 それにしても、さきほどの方は、なんといい加減な……。わからないなら、はっきりとわからないと言うべきでしょう。むだな時間を過ごしたことになります。
 新しいインストラクターの方の説明で、ようやくプレートを使って計算して答えを出す方法がわかりました。
 また、水中生物によるケガの原因について、テキストの説明では「水中生物の自己防衛」が正解で「水中生物の母性防御」が間違いになっていました。これは同じことではないかと尋ねると、その通りだが、テキストにはいろいろと間違いがあるので、とかなんとか弁明しておられました。
 確かに、今回使用したテキストは、誤字・脱字・日本語として変な表現などが散見します。英語版を日本語訳して作ったものなので、そこは仕方のないことでしょう。正しい日本語の知識は海底に捨て置いて、とにかくこのテキストを使うしかありません。

 さて、試験がスタートです。
 四択の問題が48問と、五つの項目を並べ替えるものが2問、計50問でした。

 自信のないものもありましたが、すべてを記入して提出しました。試験時間は無制限だとのことでしたが、30分ほどで終えることができました。
 表を使っての計算問題は6問か7問ありました。それも、レベルの高いもので、脳みそは加熱状態でした。
 すべてを答え終わった後は、もう見直す気力もなく、すぐにそのまま提出しました。どうにでもなれ、というか、もう一度、問題を見たり考えたりするのが億劫になったのです。早く開放されたかったからでしょうか。

 優しく的確に説明してくれたインストラクターの方は、すぐに目の前で採点してくれました。どうやら、採点する中で出来なかったところを先生と生徒が一緒に確認して、確実に知識を身に付けるという学習方法の意義を、性善説のもとに実施するテストのようです。信頼の上に立った仲間意識は、試験を受けた身にとっては、本当にいい考え方だと思われます。

 私の結果は、50問中まちがいは2問とのことでした。その間違い箇所の説明を聞いて、一つは私が問題文を誤解して答えたものでしたが、もう一つはどうも納得できません。
 問題は、水深10mでコップに空気を入れて、それを引き上げて水面までもって来ると、中の空気はどうなるか、というものでした。
 私は、空気が溢れて零れ出るとしたのですが、間違っていると言われるのです。2気圧の水中でコップいっぱいに入れた空気は、1気圧の水面に出ると、コップの中の空気は膨張して外に出るはずです。そうであるからこそ、水中から浮上する時には、肺の過膨張に細心の注意を払うのです。緊急浮上する時も、肺が膨張するので、口からは息を少しずつ吐きながら上昇するのだと教わりました。
 そんなことを説明すると、私の方が正しいとのこと。それ以上の話は不要だと思い、私としてはそこで打ち切りました。
 思うに、どうやら元が英語のテスト問題だったせいか、その日本語訳に関わる不備がこんなところに潜んでいるようです。上記の問題も、模範解答から推測するに、水深10mでコップに空気を入れるという表現が、どうやらおかしいのでは、と思われます。つまり、水深10mの所に空気を入れたコップを下ろして引き上げた、という場合を想定しての問題なのではないでしょうか。
 いずれにしても、練習問題の5回分と、今回のテスト問題も解答用紙も引き上げられているので、確認のしようがありません。
 何割できたら合格だとか、そうした基準も示されていません。
 また、私の採点も、おそらくたくさんの間違いがあるのではないでしょうか。合格ということなので、内心ではホッとしてはいます。そんなに厳密な学力試験ではないので、たいした問題にはならないのでしょうが、今後のためには、もう少し厳密にとは言わないまでも、あまり疑問が残らないような実施運用をしてはどうだろうか、と思いました。

 何はともあれ、これで、やっと肩の荷が下りました。
 あとは、来週末の伊豆での2日間の海洋実習です。
 体育会系の合宿ではないとのことなので、楽しんで来たいと思います。
 実際には、思うように自然の中で動けなくて、悔しい思いをするのでしょう。しかし、とにかくこれはスタートなので、焦らずにリラックスして、たくさんのスキルを習得してくるつもりです。

 そして、エジプトにあって地中海の花嫁とも呼ばれる港町アレクサンドリアの海に潜り、クレオパトラが着けていたペンダント(何故これなのかは自分でも不明)を、小野小町で有名な秋田県生まれの妻にプレゼントするという願いを叶えたいものです。多分に、苦労をさせ続けている贖罪の気持ちからのことですが……。
 今回のライセンスは18mまでしか潜れません。さらなる精進を重ね、もっと深くまで潜れるライセンスの取得を目指すつもりです。
 (楊貴妃のペンダント?については、私が愚かなる中国嫌いなので、長安郊外の温泉保養地・華清池を潜って探す気はありません。どうせ、まがいものしか出ないでしょうから。)
posted by genjiito at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | *身辺雑記