2007年07月28日

弁護士は美味しい仕事?

 ちょうど1年前に、私の車の後部がぶつけられました。

Nyph9ln7_s接触事故現場


 写真の中央で赤いテールランプの車が私のものです。その手前右が、ぶつかって来た相手側車輌です。
 場所は、奈良の自宅近くの天然温泉施設の入り口。
 ブログに新名所としての記事を書こうと思っての、いわゆる取材を兼ねて行ったのです。それが、こんな形での報告と化しました。

 とにかく、この温泉はいつも満員です。この日も、入口で駐車待ちをしていた時に、帰りを急ぐ車にぶつけられたのです。小さな事故ですが、いろいろと興味深いことが付随していたので、忘れないうちに書いておきましょう。京都に住まう身となり、それまでの奈良を懐かしむ中での想い出話の一つとして。

 写真を見てわかる通り、私は右奥の駐車場へ行きたいのですが、右前に対向車がいるために動けません。その後ろには、出て来る車がつながっています。
 ぶつかってきた加害者の車のタイヤの向きを確認してください。実は、この駐車場から出るためには、写真の右側に曲がらないといけません。もしくは、直進です。このように写真の左へ行くと、そこには壁があります。
 また、前の通りを挟んで、さらに大きな駐車場があるので、そこへ行く人の通路を確保するためにも、私は自分の車の左側を人が通れるほどの隙間を空けて停まっていました。

 接触部分は、こんな状況でした。

0k2cqw0p_s接触部分



 私の車の右後輪の位置と、加害者側の車の右後輪の食い込むV字の角度を見てください。私は、前にも後ろにも行けない状態で、ぶつかる瞬間をバックミラー越しに見ているしかありませんでした。衝撃を感じるとともに、車外に出て状況を確認しました。
 私がここに来た目的が地元の温泉取材ということもあり、ポケットには愛用のカメラを入れていました。この事故の直後の様子をたくさん撮りました。撮影中、相手方の車に乗っていた方は、他の車が出られないからすぐに車を移動しろ、とか、いつまで写真をとっているのだ、と叫んでおられましたが、私は無視して写真を撮り続けました。運転されていたのは奥さんのようでした。カメラの前に立たれるので、なかなか思うようなアングルで撮影できません。私は、しつこくシャッターを切っていました。とにかく、何事も事実を記録することが大事ですから。
 少し興奮気味の相手を刺激しないように、フラッシュは控えました。SONYのサイバーショットは、夜でもフラッシュなしで撮影できます。後でパソコンで再現できるのは、デジタルカメラの一番の利点です。

 まずおもしろかったのは、この事故をどこに報告するかです。
 私は、温泉のフロントの方に尋ねて、まずは生駒警察署に電話をしました。自分が住んでいる地域を管轄するのは、西和警察署だと思っていました。しかし、言われるままに生駒警察に電話をしました。
 ところが、事故の場所を聞いた生駒警察は、西和警察署に届けろと言うのです。この生駒警察のいい加減さは、かつてホームページで「痴漢は性差の文化的問題か ―被害対策の事例報告をかねて―(2001.2.27)」(http://www.eonet.ne.jp/~genjiito/HTML_tetsuya/tankyuu_folder/R1.1_chikan.htm)と題して報告した、あの不真面目な警察署です。
 結局は生駒警察が来たのですが、この事故現場は両警察署の管轄範囲の境界上にあったために、このように警察署がたらい回しにしたのです。
 2人の警官が来て、事情聴取と事故車輌の被害の確認がなされました。そして、お互いが保険会社に連絡することなどを確認して、その場を離れました。この日の取材は取り止めにしました。

 翌日すぐに、加入していた自動車保険の会社に連絡をして、手続きを進めてもらいました。撮影した事故現場での写真も、ネットで送りました。そして、すべてを保険会社にまかせました。車の修理をするタイミングも相談しました。
 どのような経緯からだったのかは失念しましたが、私の保険には弁護士特約がついていたので、それで対処してもらうことになりました。おそらく、相手側が私の方にも過失があると言って来たためだと思います。
 私には過失は皆無だと信じていたので、その旨を保険会社に伝えたところ、交渉などは弁護士にまかせることになりました。弁護士に入ってもらっても、私の費用負担はなくて、また保険の評価も下がらないとのことでした。

 とにかく昨年の8月から9月にかけては、ロシアに行ったり、国内出張などが立て込んでいる時期でした。大阪北浜にある弁護士事務所へ行って経過説明をしたのは、3ヶ月後でした。
 土曜日の午後、弁護士事務所で事故の経緯を説明しました。
 弁護士は、事故現場の図面を、鉛筆と定規を使って、丁寧に作図されました。こんな小さな事故なのに何と丁寧なことか、と感心しました。1時間半ほどだったでしょうか。何度も書いては消して、詳細な図面ができあがりました。その弁護士さんは忙しい忙しいと言いながら、土曜日にわざわざ出勤して手作業で図面を作られる意味が、その時の私にはわかりませんでした。わざわざ私のためにこんなにしてくれて、本当に親切な方だと思いました。

 相手方が非を全面的に認めないので、弁護士から以下の「請求書」という書面が送られました。



        請  求  書

           平成18年11月28日
大阪府・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・ 殿
           大阪市・・・・・・・・ビル5階
                   ・・法律事務所
                   ・・・・氏代理人
                   弁護士 ・・・・
           (電話 06ー・・・・ー・・・・)
           (FAX 06ー・・・・ー・・・・)

前略  当職は,・・・・氏(以下,「通知人」といいます。)の代理人として本書を呈します。
 さて,貴殿は,平成18年8月・・日午後8時40分ころ,奈良県生駒市・・・・所在の「・・・・温泉」南側出入口付近において,普通乗用自動車(大阪・・・・)を運転して・・・・温泉駐車場(北)から左方道路(東)へ大回りで左折進行するにあたり,同温泉駐車場に進入するために同駐車場の出入口付近にて先頭を北東に向けて停車して待機していた通知人運転車両(奈良・・・・)に接触しないように十分に安全確認し,車間距離を保持して進行すべき注意義務があったにもかかわらず,これを怠り,十分に通知人車両との車間距離を確認しないまま,大回りに左折進行しようとしたことから,貴殿車両の右後角を通知人車両の右側後部に接触させるという事故を起こされました。
 そして,この事故により,・・・・氏所有車両は損傷を受け,修理費として金4万0601円の損害が発生しています。
 本件事故は,上記のとおり,貴殿に安全確認義務違反・車間距離保持義務違反の一方的な過失責任のある事故です。
 ついては,貴殿おいて,・・・・氏の披った物的損害金4万0601円を全額賠償いただく必要がありますので,貴殿に対し,本書をもちまして,上記金4万0601円を請求いたします。
 本書到着後,1週間以内に,上記金員全額を当職まで持参または送金して全額お支払ください。
 万一,貴殿が上記期限までに上記金員の支払をされず,かつ,当職に対し何らの連絡もされない場合には,貴殿に対し,弁護士費用を加算した上で,速やかに裁判手続をとらざるを得ないと思料しておりますので,ご承知置きください。
 いずれにしても,本件に関しては,今後,当職が,・・・・氏の一切の窓口を相務めますので,よろしくお願いします。
 上記要用のみにて失礼します。
                    草 々




 あからさまに、支払わないと裁判をするぞ、という脅しに近いものとなっています。これで、まったく不利な立場の相手方は、支払わざるをえなくなるのです。結果的には、この強気が功を奏しました。加害者側はすぐに全額を支払うことで決着しました。
 とにかく、写真という証拠は、大きな威力を発揮しました。
 その後、弁護士から「事故解決に関する承諾書(免責証書)」が送られてきました。相手方の保険会社から、自動車の修理費用も振り込まれてきました。

 私には過失がなかったことで終わり、ホッとしました。
 そんな時に、保険会社から弁護士に支払われた内容を明記した書類が届きました。それを見て驚いたことはもちろん、過般、弁護士事務所での弁護士の対応のバカ丁寧だったことの舞台裏が見えました。

 その送られて来た書面には、「弁護士費用等担保特約保険金」として、「198,020円」と「20,000円」の2回の振込みが弁護士事務所になされていたのです。
 当該弁護士は、私への対応に関わる報酬として、約21万円を手にされたのです。
 いくら特殊な職業とはいえ、これは結構な商売です。
 金額の妥当性を云々する根拠はないのですが、休みの日に出勤して、いい年をした男がパリッとしたスーツを着込んで、バカ丁寧に鉛筆と消しゴムを使って図面を作成するだけの価値は、この報酬を考えると理解できます。

 私がホームページ〈へぐり通信〉に「海外留学と保険契約 −驚くべき損害保険会社の対応を裁判体験から報告する−」と題する報告をしたのは、2004年5月でした(http://www.eonet.ne.jp/~genjiito/HTML_tetsuya/R1.3.0_hoken_top.html)。
 そこでは、本当にいい加減な東京地方裁判所の裁判官のことや、平気で嘘をつき通す保険会社の弁護士に対する憤りを記しました。

 特権に守られて仕事をする方々の、私には理解できないところを、今回また一つ見た思いです。
posted by genjiito at 10:10| Comment(0) | TrackBack(0) | *身辺雑記